永く続くブランドを考える

自分でつくったブランドを長く続けるにはどうすればいいか。そう自問自答する多くのブランドオーナーの関心事はなにか。僕の勝手な想像は、それは、いま目の前にある商品の売れ行きよりも会社の未来の姿だということ。商品ブランドやサービスブランドではなく、企業ブランドそのものの未来への関心です。

他人事ではなく自分ごとなので、関心事ではなく心配事ですね。心配といっても日々思いわずらうようなタイプのものではありません。たとえば、誰でも事業を始めてまもない頃は、心配で眠れない夜が続きます。それでもそのうちに慣れっこになってそんなことなど忘れてしまい、毎晩グーグー寝れるようになるはずです。経営資源が限られる個人商店オーナーにとっては、一円にもならない心配事に価値がないことを、早々に理解するからです。この心配とは別のお話です。

賞味期限:永遠a super long best-before-date

冒頭に書いたブランドを長く続けるにはどうすればよいかというテーマ。僕はこのことを、“価値の賞味期限問題”と呼んでいます。失敗したらやり直せばいいといいますが、そうもいかない場合もあります。40歳でブランドを立ち上げた僕にとっても、取り返しのつかない歳をとうに超えています。もし自分のブランドが入った缶詰に賞味期限を印字するなら、そこには「永遠」という文字を刷りたいのです。

コーヒーのある暮らしTime with a cup of coffee

コーヒーそのものよりコーヒーのある暮らしぶりにフォーカスする。カフェノマがテーマとする『コーヒーのある暮らし』とはそういう意味合いです。コーヒーには賞味期限がありますが、『コーヒーのある暮らし』には賞味期限がないからですが、最初からこのことを意識していたわけではありません。このことに気づいたのは、実は2012年に写真を撮り始めてから数年経ったあとのことでした。

写真は、コーヒーが映り込む暮らしぶり(空気)を切り取るようにして撮っています。この空気感をいかに価値に変えるかが、ぼくが長らく挑んでいるテーマです。そういう意味で、カフェノマの写真は賞味期限という壁を超えたいという僕個人の試みでもあります。

一般的に食べ物の商用写真では、シズル感=みずみずしさの表現が求められますが、僕は最初からこれを否定していました。イメージしていたのは、西洋画にある果物の静物画です。数百年前の絵画のように、“おいしそう”ではなく、いつまでも眺めていたい一枚の画を目指してきました。おおげさにいうと、数百年前の果物のある暮らしを眺める現代のぼくたちのように、数百年後にコーヒーのある暮らしを眺めるひとびとのことを想像して写真を撮っているわけです。

ブランドが長く続く秘訣というのは、なかなか思いつきません。それでも価値が永く続くことをメタ認知しつづけると、そこにはやっぱり“普遍性”というテーマが浮かび上がってきます。この賞味期限のない普遍的な価値をみつけることこそ、ブランディングという行為だと自分は思っています。