80対20の法則は、別名パレートの法則と呼ばれ、経済の分野からはじまり、いまでは自然現象や社会現象など多くの事象に当てはめて使われるようになっています。前の記事で紹介した『Design rule index―デザイン、新・100の法則』にある例を引用してみます。
都市の交通量の80パーセントは、都市全体の道路の20パーセントに集中している
企業の売上の80パーセントは、20パーセントの製品からもたらされる
技術革新の80パーセントは、20パーセントの人々によってもたらされる
事象としてはマーケティングの現場でも、昔からよく語られてきました。個人的には、なんとなく経験的に合っているような気がする、という程度にとらえています。
味のあるものを2割取り入れるOld and new come together in the same space
この法則を意識したわけではありませんが、カフェノマの活動にも似たような経験則があります。それは、色味のバランスを『8対2』で考えるというもの。本の中では以下のように紹介しています。
新しいものを8割、味のある古いものを2割というバランス。人の手を伝って大事にされてきたもの、例えば古い家具には、のんびりした心地よさを感じ、堅苦しさを和らげる効果があると考えています。でもビンテージ品ばかりだと野暮ったくなってしまうので、清潔感のある真新しいものを組み合わせてバランスをとっています。「新しさと古さ」という2つの質感のバランスを大切にし、完璧なものを少し崩すことでうまれる「抜け感」をいつも心にとめています。
文中では、家具の素材や内装のマテリアルを比較対象としていますが、今回は、写真を構成する“温かい色と冷たい色”、あるいは“有彩色と無彩色”というバランスを意識したケースをご紹介します。各写真の中央にある矢印を左右にスライドして、カラーとモノクロを比較するとより分かりやすいかと思います。


小皿の上の四角い生チョコレートを主役に設定し、そこから他の映り込む要素を決めていきます。2割の有彩色を、チョコ、ミルクコーヒー、ガラス製キャニスターのコルクの蓋のみにして、その他を白やグレーの無彩色にします。人物の服も濃紺のものを意図的に選んでいます。


有彩色の茶色と、無彩色の白のバランスを考えて、要素を決めています。ベイクドケーキの茶色を際立たせるために、白い皿を用いています。同様にカップも白にして、木製トレイの茶色とのコントラストを意識しました。




暗い背景や白いクロスを被せたテーブル(無彩色)は、どちらもパンケーキ(有彩色)を強調するために存在しています。


こんがり焼けたトースト(有彩色)を主役に、他の配役を考えていきました。ポットもカップも皿もすべて白でテーブルに溶け込むようセレクトしています。


テーブルランプとチョコの包装とブラックコーヒー。この3点を邪魔しないように他の要素を検討しています。人物の服装も床とおなじ無彩色で存在を薄めています。


ランプシェードから漏れる明かり(温かい色)と、窓の外にみえる歴史的建造物のシルエット(冷たい色)だけを浮かび上がらせています。